あるところにAOという美しい青い羽を持つ鳥がいました。
AOは100歳で、川と海が交じり合うちょうど境目の河岸に住んでいます
AOはいつも嘆いていました。
川の汚れは、人間の気持ちのよごれ、閉塞感。
どこか美しく清らかでみんなが笑顔のセカイへ行きたいと
ある日、ずっと100年住み慣れ親しんだ川辺を
ついに飛び立つことを決めました
いつか飛び立つことが来る時は、目的地が決まってからだと100年思っていましたが、
どうしても美しいセカイ、心の中ではありありと思い描けるセカイを見つける旅へと
出発することにしました
AOは空から眺めてここだ!と感じるところに降り立ち
自分と同じように、その土地を守っている木や鳥やリスや猫たちに
美しいセカイがどこにあるかを聞いてまわることにしました
ある時、雷が鳴り響く大嵐の日がありました
吹き荒れる風と雷を避けるように
AOは上空へと上へ上へと高く舞い上がりました
ピカっとある時、静けさの中へ入りました
そこには雷さまがいました
AOは雷さまへ
”美しいセカイを見つける旅をしているので嵐を止ませてほしいと”
お願いしました
雷さまはこたえました
”それは出来ない
私はわたしなりの方法でこの世界をキレイにしている最中なのだ
それが終わるまでは止めることは出来ない”
AOは仕方なく終わるまで、
その静けさの中で待つことにしました
ふと雷さまはAOに問いました
”美しいセカイを見つけていると言うが、
おまえはそのために何をしているのか”と
AOは嵐が止むまでのあいだ
自分がしてきたことはあるのか、考え込み
今までの自分自身を振り返ることにしました
ふとAOは嵐が止む時を雷さまは分かるのかが気になり
雷さまへと質問しました
”嵐が終わる時は分かるのですか?”
”それは、分かる
自分の内側の霧が晴れたとき、この嵐は止み
それとともにまた新しい美しいセカイが太陽とともにあらわれる”
その言葉を聞いてAOは分かりました
AOがずっと探していたものを
美しいセカイの作り方を自分自身の内側に見つけたのです
AOは晴れやかな気持ちとなり
大切なもの、美しいセカイを見つけ感動し
そのままの気持ちの自分で早く家へ帰ろうと思いました
AOは、100年住んでいるいつもの場所へ帰り
自分の心をいつも晴れやかでいれるように
あの時の気持ちや感覚でいるようにと
AOのいつもの場所と自分自身を美しく整え
いつしか、この場所こそ探していた美しいセカイだ
自分はその美しいセカイにいると、いつも幸せに過ごしました
おしまい
2022.11.28 『AOの物語』 ノベルセラピスト 麗
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